背景

近年、環境問題に対する関心が高まってきており、特にプラスチック難燃剤や電線ケーブルの被覆材料などに安定剤としてCd 及びPb が使用されています。EU 域内ではWHEE(Waste Electrical and Electronic Equipment)やRoHS(Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment)といった規制が設けられており、有害物質(水銀・カドミウム・鉛・6 価クロム・PBB・PBDE)の使用制限がなされています。今回、エネルギー分散型蛍光X 線分析装置 (OURSTEX150RoHS)を用いて、特に注目されている低濃度Cd・Pb 分析が容易に行なえたのでご紹介致します。

測定条件

  • 測定装置:OURSTEX150RoHS
  • 検出器:SDD(シリコンドリフトディテクタ)
  • 管電圧・電流:48kV-AUTO

測定結果

図1 にCd, Pb についての測定プロファイルを示します。試料は、塩化ビニル系樹脂にCd, Pb を添加し、ペースト状にしたものを用い、分析値はICP 等であらかじめ求めています。33ppm のCd-Kα、43ppm の Pb-Lα 共にブランク試料と比べて低濃度領域でもはっきりとピークが確認できます。図2 にそれぞれの検量線データーを示します。検量線はROI 範囲を設定し、バックグラウンドを除去した積分強度を用いました。また、表1 に各測定時間に対する検出下限値を示しました。

電子材料中の有害重金属Cd・Pb 分析測定結果
電子材料中の有害重金属Cd・Pb 分析測定結果

まとめ

OURSTEX 150RoHS は、小型で液体窒素や冷却水が不要のため、コストパフォーマンスに優れています。また蛍光X 線分析法を用いているため、試料処理が容易で簡易に測定できます。さらに、SDD 検出器、タングステン管球および特殊フィルターを使用しているため、高感度でカドミウムおよび鉛の同時分析が可能になり短時間測定が実現します。本装置は、電線被覆剤や各種プラスチックなど電子部品中の微量な重元素分析に最適です。

推奨装置

エネルギー分散型蛍光X線分析装置「OURSTEX160RoHS」